日本軽金属ホールディングス株式会社

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ニュースリリース

当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について

2023年3月29日

各 位

会 社 名 日本軽金属ホールディングス株式会社
代表者名 代表取締役社長 岡本 一郎
(コード番号 5703 東証プライム)
問合せ先 企画統括室 広報・IR担当 石川 千津
(電 話 03-6810-7160)

 

 

 

 

 

当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について

 

 日本軽金属ホールディングス株式会社(代表取締役社長:岡本一郎、以下、「当社」)は、当社のグループ会社(以下、当社を含み「当社グループ」)における「鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格(JIS)への適合性の認証に関する省令」に定める基準に違反する事項を含む製品の製造及び検査に関連して生じた不適切行為(以下、「本件」)により、お客様をはじめステークホルダーの皆様に多大なご迷惑をお掛けしていますことを改めて深くお詫び申し上げます。

 当社グループは、本件の全容解明のため、2021年6月9日に特別調査委員会を設置し、以降、特別調査委員会の調査に全面的に協力してまいりました。特別調査委員会の調査範囲がJIS認証事業所以外に拡大されたことにより調査により多くの時間を要すこととなり、結果として皆様への本件の調査結果および本件対応に関するご報告が遅くなりました。
 このたび特別調査委員会より「調査報告書」を受領し、本日2023年3月29日開催の当社取締役会において本件に対する再発防止策を審議、決定しましたのでご報告いたします。

 当社および当社グループは、特別調査委員会の調査結果と再発防止に向けた提言を真摯に受け止め、再発防止を着実に実施し、皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります。

 

1.本件の経緯
 2021年5月14日、当社グループの中核会社である日本軽金属株式会社(以下、「日軽金」)の名古屋工場において実施された一般財団法人日本品質保証機構による臨時認証維持審査(実施期間:2021年4月22日~23日)の結果、JISへの適合性の認証に関する省令に定める基準を満足しておらず、その内容が重大であるとして、同工場のJIS認証が取消しとなりました。
 これを受けて、同年5月17日より日軽金名古屋工場の調査および当社グループの他のJIS認証事業所における調査を進めることを目的として、当社内に「社内調査委員会」を設置し、調査を開始しました。
 その後、日軽新潟株式会社、日軽形材株式会社、日軽蒲原株式会社においても不適切行為が発覚しました。このうち、日軽新潟株式会社は同年7月2日にJIS認証取消しとなりました。
 当社は、不適切行為が当社グループに拡がっていることを重く見て、より客観性を高めて事実関係の正確な把握と深度ある調査を行う必要性を認識し、同年6月9日の当社取締役会において、外部専門家等によって構成する「特別調査委員会」を設置して調査を行うことを決定し、同日付で特別調査委員会を設置しました。その後、調査の検討事項が拡大したことを踏まえ、同年11月1日に委員構成の見直しが行われ、現在の特別調査委員会の形となって調査が継続され、本日、特別調査委員会から調査報告書(以下、「特調委報告書」)を受領しました。
 また、当社においても、独自に原因分析を進めており、本日、「当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について」として取りまとめ、本日の臨時取締役会において決定いたしました。

2.特別調査委員会の調査により判明した本件の概要
(1)不適切行為の件数と発生時期
 特調委報告書では、国内31社56事業所について調査が実施され、その結果、18社36事業所において、合計214件の不適切行為が明らかになっております。会社・事業所別の不適切行為の詳細は、会社報告書7~8頁記載の「会社・事業所別不適切行為一覧」をご参照願います。
 このうち不適切行為が発生した時期は、2017年以前が165件、2017年の品質総点検(後記4.参照)以降が48件、不明が1件です。
(2)不適切行為の安全性の検証
 不適切行為として認定された事案214件のうち、報告や監査に関することなどの安全性の検証が必要でない12件を除く不適切行為は202件です。最終的にはお客様にご検証いただくものではございますが、自社検査や自社評価においては、全ての事案で安全性に影響がなかったと判断しております。
(3)不適切行為の是正状況
 不適切行為として認定された事案214件のうち、報告・公表に関する事案10件を除いた製造・検査等に関する不適切行為は204件です。これらのうち、是正中の3件を除く201件についてはすでに是正措置を完了しており、これらの是正措置の完了は特別調査委員会によっても確認されております。

3.特別調査委員会による原因分析と再発防止に向けた提言
(1)特別調査委員会による本件の原因分析で指摘された事項
 ①品質保証体制の沿革と統一的な品質保証の機能不全
  ア)品質保証業務に関するグループ子会社の独自性
  イ)品質保証に関するグループ子会社管理の機能不全
 ②各グループ子会社における品質保証の機能不全
  ア)社内ルールの不備
  イ)規格に関する知識の不足
  ウ)品質保証部門の発言力不足
  エ)品質保証部門の人員不足
  オ)設備やシステムの不足及び不備
 ③不適切行為の背景にある企業風土
  ア)生産優先主義
  イ)規格を遵守する意識の不足
  ウ)事実をありのままに報告する意識の不足
(2)特別調査委員会の再発防止に向けた提言
 ①不適切行為の是正及び再発防止に向けた意識改革
  ア)ルール不遵守に対する法的責任の再確認
  イ)事実をありのままに報告する重要性についての意識改革
  ウ)不適切行為の指示が従業員に与える精神的負担についての意識改革
  エ)意識改革のための内部通報制度の実効性確保
 ②当社の品質保証体制の再構築
  ア)製品安全・品質保証統括室からのレポートラインの複線化
  イ)製品安全・品質保証統括室長の独立性確保
  ウ)グループ子会社管理の機能強化
 ③グループ子会社の品質保証体制の再構築
  ア) 品質保証部門の地位向上
  イ)品質保証部門の人員確保
  ウ)設備及びシステムの更新
  エ)社内ルールの再整備

4.当社における本件の原因分析
 2017年に他社で発生した品質不適合事案を契機として、当社は当社グループにおける品質総点検を実施しており、仕様・規格・手順への不適合がないかの自主点検を行っておりました。しかし、今般の調査により、2017年の品質総点検で発見・是正することができなかった不適切行為が数多く存在しており、かつ、品質総点検の実施後にも新たな不適切行為が発生していたことが判明いたしました。
 長年にわたり、多くの事業所で不適切行為が存在していたこと、また品質総点検の実施によっても不適切行為の発見・是正・抑止を尽くすことができなかったことを重く受け止めております。
 不適切行為が当社グループにて広く行われていたことの背景にどのような構造的な要因があったのか、不適切行為の動機・正当化・機会の観点などに着目して検討を進めてまいりました。製造・試験・検査のそれぞれの現場で仕様・規格・手順への不適合が行われてきたことの背景には、以下の要因があったと総括いたしました。
 (i) 厳しい納期対応に追われるなかで、営業・開発・製造・品質保証の各部門の適切な関係性が失われ、
   納期遵守のために不適合を行う「動機」が生じていたこと
 (ii) 製品の安全性に実害を生じさせるわけではないという誤った「正当化」が働いていたこと
 (iii) 現場への牽制・チェック機能が不十分であり、不適切行為の「機会」を許してしまっていたこと
 (iv) 品質保証機能の独立性・権限が十分でなく、不適合の発見・是正が尽くされていなかったこと
 (v) 当社グループの沿革に起因して、グループ会社や事業所の一部で「閉鎖性」が生まれ、
    不適切行為の動機・正当化・機会が「歪み」として増幅されてしまっていたこと
 (vi) これらの要因が相互に作用し、不適切行為についての声が上がらず、現場が直面する難題に対し、
     部門横断的に、またグループ横断的に対応されないままであったこと

5.当社グループの再発防止の取組み
 当社は特別調査委員会の提言を真摯に受け止め、本件の原因に対する当社による総括を踏まえ、以下の取組みを推進してまいります。

(1)経営改革の推進
 ① グループ・ガバナンス体制の再構築 ― グループ連携の強化
  当社グループには中小規模の子会社が多数存在しますが、小規模な事業をより大きく括っていくことで、
  グループが保有する開発・製造・品質保証あるいは管理機能を最大限に活用し、個別事業単独での取組み
  に付随していた経営資源の制約を克服する所存です。特に、事業を跨いだ連携によって、事業間における
  人的資源の最適化、より成長が期待される分野へのシフトを可能にすることで、財務および非財務におけ
  る事業の持続可能性と競争力を高めることを図ります。
 ② 当社とグループ会社の関係再構築
  グループ会社間の連携強化によるシナジーの創出を図ることを目的に、各社が直面する経営課題に対する
  具体的な方向性や施策について幅広く議論し、グループ全体で認識を共有した上で、連携を強化しながら
  対処することにより、グループ一体経営を図ります。
 ③ グループでの経営課題・リスクへの対処
  グループ会社の独自性を重視しながらも、グループ横断的なリスクマネジメントの取組みを強化します。
  特に、原因分析で挙げた経営課題について、取り組むべき事項について、マイルストーンやKPIを明確に
  しながらロードマップを作成し、実効的な取組みを推進します。
 ④ 営業・開発・製造・品質保証・その他部門による組織横断的な対応
  不適切行為の動機・正当化の原因となった納期対応の問題への対処と、営業・開発・製造・品質保証の関
  係性を再構築すべく、営業・開発・製造が合意できるルート・体制づくりを進めます。特に、納期対応の
  問題に対しては、部門(工場)の責任者(工場長)が統括責任者となり、製販会議等の部門連携、在庫水
  準の適正化等を議論し、工程のどこに無理が生じていないかを不断にチェックすることで、お客様のニー
  ズに正しく応えます。
 ⑤ 品質保証体制の再構築
  急務となっている品質保証体制の再構築という経営課題に対して、開発・製造の現場に対して十分な指
  導・支援ができるよう、独立性および権限の強化などを柱とした機能・体制を強化するとともに、品質監
  査の強化、グループ全体での品質保証体制の強化を図ります。なお、活動の牽引役となる当社製品安全・
  品質保証統括室長は専任とします。
 ⑥ 不断の検証
  本件と同様の不適切行為が再発する可能性、また特別調査委員会の調査対象に含まれていない現場での同
  様の不適切行為が再発・存在しないか不断に検証し、その発見と是正に努めます。
 ⑦ 当社取締役会による監督強化
  当社取締役会は、再発防止のための施策が実効的に進められているかを注視し監督責任を果たしてまいり
  ますが、監督機能の実効性を高めるべく、経営課題に体制・構成の確保、実質的な審議を図るための運営
  面の改善を継続します。

(2)内部統制機能の強化
 ① 取締役会の監督のもとでの、実効的な内部統制システム構築・運用
  当社取締役会は当社グループにおける実効的な内部統制システムが構築・運用されるよう監督責任を果た
  します。今後、当社取締役会にて内部統制システムの基本方針の改定を決議する予定であり、当該基本方
  針のもと、具体的な取組みが推進されるよう監督します。
 ② 企業風土の改革
  今般、本件の原因・分析において当社経営の影響によって役職員の意識と組織の風土が形成されていたこ
  と、その意識や風土が個人や組織の行動を決定づける背景にあったことが明らかになりました。
  今後は、再発防止の基盤として、不適切行為の背景となった意識や風土を改革していかなければならない
  と考えます。風土改革は長い期間、不断の努力を必要としますが、経営方針、行動理念、行動規範の見直
  し、企業理念の役職員への浸透、忌憚なく声を挙上げられる風土づくりを進めます。
 ③ 情報の報告・連携の強化
  内部統制システムの実効性を支える情報の報告・連携を強化すべく、悪い情報ほど早く伝えること、Bad
   News Fast/Firstの徹底を図ってまいります。具体的には、既に実施している職場単位のコンプライアン
  ス・ミーティング、社長・役員の職場行脚などの実効性を高めるとともに、レポートラインの明確化、管
  理職研修の強化などの施策を組織的に進めます。
 ④ コンプライアンス強化活動の推進
  「安全性に実害がなければ、仕様・手順・規格等への軽微な不適合があっても構わない」というような誤
  った正当化が働いていたことが明らかとなりました。今後は法令・規制・規格等の違反リスクを当社グル
  ープの「重点対策リスク」に指定し、品質コンプライアンスの向上、浸透のため、教育・指導・支援を継
  続して実施します。
  当社は、本日を「品質の日」と定め、本件の教訓を忘れず、今後の取組みの成果を確認する日としていき
  ます。
 ⑤ 内部監査部門の強化
  いわゆる3ラインモデルで強調されるように、第1ラインの営業・開発・製造が自らリスクの把握・評
  価・対処に努め、第2ラインに位置する品質保証部門が第1ラインのリスク管理を支援・牽制するとと
  もに、第3ラインとして内部監査部門を拡充し、第2ラインひいては第1ラインへと深度を深め実効的な
  内部監査を行ってまいります。
 ⑥ 内部通報制度改革
  信頼できる通報先として役職員に認識されるよう、通報者保護の強化、秘密保持の強化、リニエンシー制
  度の充実などを図るとともに、制度の理解・浸透とアクセシビリティの向上に継続的に取り組みます。
 ⑦ 外部リソースの活用
  再発防止策が確実により効率的に、かつ継続的に実行されるよう、専門人材の登用、外部サービスの利用
  など外部リソースの活用を図ります。

6.責任所在
 当社は本件の結果およびその影響を厳粛に受け止め、経営責任を明確にするため、関係する当社役員の処分につき、当社指名・報酬委員会への諮問と答申を経た上で、2023年3月29日の当社取締役会にて以下の通り決定しました。
 また、本件に関わった関係会社役員の処分については、精査の上、順次行っていきます。

役職 氏名 報酬減額
代表取締役社長 岡本 一郎 月額報酬50%×6ヶ月
取締役 村上 敏英 月額報酬50%×4ヶ月
取締役 早乙女 雅人 月額報酬40%×4ヶ月
取締役 松葉 俊博 月額報酬30%×4ヶ月
取締役 楠本 薫 月額報酬30%×3ヶ月
取締役 田中 俊和 月額報酬25%×3ヶ月
取締役 朝来野 修一 月額報酬15%×2ヶ月
取締役 岡本 泰憲 月額報酬10%×2ヶ月
取締役 松平 弘之 月額報酬10%×2ヶ月
執行役員 伊藤 嘉昭 月額報酬40%×4ヶ月
執行役員 杉山 和義 月額報酬25%×3ヶ月
執行役員 市川 雅一 月額報酬15%×2ヶ月
執行役員 辻野 雅佳 月額報酬10%×2ヶ月
執行役員 敷根 功 月額報酬10%×2ヶ月

7.今後の予定
 再発防止につきましては、当社としての取組みの進捗を定期的に、当社ホームページを通して報告してまいります。
 再びステークホルダーの皆様から信頼していただける企業グループとして生まれ変わるべく不退転の決意と覚悟を持って取り組んでまいります。

以 上

 

添付資料
①会社報告書「当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について」 (PDF)
②特別調査委員会 調査報告書(公表版) (PDF)

 

印刷用PDF

当社グループの品質等に関する不適切行為に係る調査結果および再発防止等について (PDF)