日本軽金属ホールディングス株式会社

快適

新幹線を「快適に」

長野新幹線「あさま」

長野新幹線「あさま」

新幹線の高速走行を支えるアルミ合金製ダブルスキン構造材

薄くて複雑な形状を持つアルミ合金製ダブルスキン構造材により、強くて軽い車両を実現し、よりよい乗り心地を提供します。

高速鉄道というインフラ

経済発展に伴って、人や物の移動は加速度的に増加します。日本でも、1964年の東京オリンピックを契機に高速鉄道が整備され、全国に拡がっていきました。今では、年間約860億人㌔もの人々を運んでいます。途上国の発展においても、高速鉄道は欠かせない社会インフラのひとつです。そのような高速鉄道の発展の一端を担う技術が、アルミ合金製ダブルスキン構造材です。

※人㌔:交通機関の輸送量を表す単位で、人数と距離(km)を掛け合わせたもの

高速走行にマッチした構造材

新幹線が高速で走行する際は大きな力が加わり振動も激しくなります。アルミ合金製ダブルスキン構造材は、これらの影響を緩和するとともに、車内スペースを広くし、快適な車内環境を実現しています。

アルミ合金製ダブルスキン構造材とは

ダブルスキン構造材の断面

ダブルスキン構造材の断面

ダブルスキン構造材ダブルスキン構造材

ダブルスキン構造材

日軽新潟㈱は、国内最大の幅60cm、長さ25mのアルミ合金製中空押出形材の製造技術を有しています。これは、新幹線1車両分の長さに相当します。この強みを活かし、断面が三角形を組み合わせたトラス形状のダブルスキン構造材を製造しています。

アルミ合金製ダブルスキン構造材は、高い強度を持っており、車両の強度を確保するための骨材の使用量を他の構造材に比べ大幅に低減することが可能です。これにより、ゆとりある車内スペースの確保を実現しています。

さらに、空洞部分に制振材を充填することで車両の振動を低減し、揺れの少ないより静かな車内環境づくりに貢献しています。

こんな車両に使用されています

東海道・山陽新幹線はもとより、近年では、「はやぶさ」の愛称で知られる東北新幹線をはじめ、「あさま」などの北陸新幹線にも日軽新潟㈱のアルミ合金製ダブルスキン構造材が使用されています。

開発者メッセージ

日軽新潟㈱
素材製造グループ

渡邉 睦

渡邉 睦

薄さと精度を両立したアルミ合金製ダブルスキン構造材

ダブルスキン構造のような複雑形状の押出をする際は変形が発生しやすく、薄さと精度を両立させることに大変苦労しました。その苦労が実り、私たちがつくる押出材が最新の新幹線に使用され、毎日たくさんの人の出会いを支えていることに誇りを感じています。

地下鉄構内を「快適に」

地下鉄構内

地下鉄構内

音を吸収する内装材「アルミッシモ」

音を吸収する内装材により、静かで快適な空間を実現し、よりよい居心地を提供します。

毎日利用する場所を快適に

東京の地下鉄は、毎日約600万人が利用しています。皆さんは、ホームでの電車通過による騒音を不快に感じたことはありませんか?

そこで、理研軽金属工業㈱は、「毎日大勢の人が利用する場所を快適にする内装材」をコンセプトに「アルミッシモ」を開発しました。

アルミニウムで吸音

アルミッシモは、ヘルムホルツ共鳴の構造を利用し、音エネルギーを熱エネルギーに変えて消費することで、吸音効果を発揮します。これにより、静かな空間を作り上げ、快適な環境を提供します。

※ヘルムホルツ共鳴:空気がばねのような働きをすることで、ある特定の周波数で共振運動が生じること

アルミッシモの吸音性能(残響室法吸収率)

アルミッシモの吸音性能

電車の通過音は500ヘルツ(Hz)付近にピークがあり、吸音機能をそれに合わせて設計しています。

また、アルミッシモの構成材料は全てアルミニウムでできており、軽量性、耐食性、加工性にすぐれているほか、表面加工により高硬度を実現しました。

もしもの時でも安心

多くの人が集まる所で使用される内装材は、火災が想定された不燃材料が必須となります。アルミッシモは、建築基準法に規定する「不燃材料」の、個別不燃認定を取得しており、さまざまな場所で使用できます。

快適な空間を目指して

アルミッシモは長年培ってきた経験と技術をもとに、素材の特性を最大限に発揮した製品となりました。

これからも、地下鉄に限らず、学校、病院、図書館、ホテルなど、静かな空間が必要とされる場所で活躍の場を拡げることができればと考えています。

開発者メッセージ

理研軽金属工業㈱
営業部 商品開発グループ

小池 夏樹

小池 夏樹

アルミッシモで快適空間を提供します

これまでにない物を作り上げていく面白みはありましたが失敗の連続でした。特に苦労したことは、仕上げ材としての外観や取付けしやすさを持ち合わせたうえで、吸音機能を付加するための形状設計でした。ヘルムホルツ共鳴器の「特定の周波数帯を吸音」する特性が、形状設計の幅を狭くしていきました。そのような中で、設計・試作・試験を繰り返し、狙った周波数の吸音に高い効果を発揮できた時は、非常に大きな達成感や充実感を得ることができました。