日本軽金属ホールディングス株式会社

CSRの扉をひらく

座談会

日軽金グループは、毎年、グループ各社からメンバーを集めてCSR 報告書を制作しています。
今回の特集①は、このメンバーによって企画・実施された「異次元の素材メーカー」とCSR との関連をテーマとした座談会です。

座談会参加者
 岡本 一郎 日本軽金属ホールディングス  斉藤 沙希 日本軽金属 人事担当  
  代表取締役社長  穂森 荘一郎 東洋アルミニウム 総務担当  
 新家 佑典 日本軽金属 化成品事業 営業担当  寺中 健 日軽産業 品質保証担当  
 井上 航太 日本軽金属 板事業 営業担当  飯野 誠己 日軽金アクト 製品開発担当  
 髙桑 明日香 日本軽金属 購買担当  中尾 智一 日軽パネルシステム 品質保証担当  
 近森 曜子 日本軽金属 広報・IR担当  小田中 清人 日軽松尾 製造担当  
司会
 田中 一豊 日本軽金属 技術開発担当     座談会参加者 
 
田中 本年度のCSR 報告書を作成するにあたり、これまでの制作会議の結果、特集テーマに「異次元」を採り上げようということになり、「異次元」のイメージをもっと深堀りし、共有したいという話になりました。そこで、「異次元」とCSR の関連性について岡本社長と意見交換をする場として、座談会を設けさせていただきました。本日はよろしくお願いいたします。

 

CSRに対する意識の変化

田中 CSR 報告書の制作活動を通して、制作チームの皆さんのCSRに対する考え方に何か変化がありましたか?  
 
井上 今回の活動を通して、CSRとは法令遵守といった最低限守らなければいけないものではなく、より広い意味で社会からの要請に応えるための企業としての姿勢なのだと認識しました。身近な活動がCSR に直結しているというところが理解できれば、グループ内にCSR が広く浸透していくのではないかと思っています。 井上
小田中 小田中 私も今回の活動を通してCSRに対する意識が変 化し、身近に感じられるようになり、普段の業務に取り組む姿勢も変わってきました。そのため、皆さんにもCSR をもっと身近に感じてほしいと思います。CSR をより浸透させるためには、どうやって発信をしていったらいいでしょうか? 
岡本社長 皆さん、CSR報告書制作を通してCSRは大切なんだ、ということを理解したでしょ。それぞれ職場に帰ってCSRって大切なんだという話を絶対してくれるよね。今ここにいる11人の一人ひとりが3 人へ話をすれば、33人がCSRを大切だと思うようになるよね。その人たちが感動したら、また他の人へそういう話をする訳だ。膝を突き合わせて話をしていくという感じで広がり始める。そういうことが大事なんじゃないかな。 岡本社長
斉藤 今回の経験を通じて、CSR をみんなが知ることが必要かなと感じています。難しいですが、私も新入社員教育を担当しているので、しっかりとCSRについての教育を取り入れていきたいと思っているところです。 斉藤
田中 CSR が大事だということは皆さん共通の認識のようですが、その中でも特に大切だと考えていることはありますか?  
近森 近森 今ちょうど、グループとしても景気が良いし、新しい中期経営計画も出て、好調感が出てるんですが、そこで不祥事とか起きたら、それで全部台無しになってしまうんじゃないかなって思います。CSR というのは企業体質や風土をつくる上でとても大切なものではないかと思っています。 
中尾 私は大切なことが3つあると思います。1つめは、商品・サービスがお客さまにご満足いただけること。2つめは、その商品・サービスやそれらを生み出す過程で社会課題を解決できること。3つめとして、それらを通じて企業が持続的に成長できることだと思います。 中尾
新家 新家 私は顧客満足を意識しています。中でも常に安定供給することを考えています。2011 年の東日本大震災の時も、関東地方の同業他社の稼働が停止した中、お客さまの操業を止めないように全力で供給しました。今でも「あの時はありがとう」と言っていただけるお客さまがいます。 
穂森 企業が持続的に成長するためには利益が必要ですよね、ただ、利益追求型の企業はネガティブなイメージがありますが、私は利益を上げるということも大切だと思っています。グループの何万人という従業員とその家族の生活もかかっていますし、利益を上げることによって、新たな雇用を生み出したり、税金を納めることもできます。利益というものもバランスよく追求していくことが大事だと思っています。 穂森
岡本社長 いろいろ考えてもらっているようですね。企業には、お客さま、従業員、取引先、株主、地域社会といったさまざまなステークホルダーがあり、それぞれのステークホルダーに社会課題がある。それらに対して全部をしっかりと対応しなくちゃいけない。どれも手を抜けないんだよ。人権とか安全とかは当たり前なんだけど、穂森君が言うように、企業が利益を出すことも大事だよね。利益を出すためには、良い製品をつくってそれを買ってもらわないといけない。ただ、私たちの仕事というのは、基本的にはB to B だから、自分たちの製品・サービスで直接貢献できないことの方が多い。サプライチェーンの中で次のお客さまにバトンを渡すことで、社会貢献ができるということだよね。例えば、「アルソル®」や「トーヤルソーラー®」などの太陽光発電関連製品をつくっているけど、それを使って電気をつくるのはお客さまなんだよね。 岡本社長
髙桑 私は逆にサプライチェーンで取引先からバトンを受ける立場にいます。具体的には、アルミ合金用の添加材の輸入を担当していて、サプライヤーへの人権に関する調査や啓蒙も行っています。日本であればCSR と聞けば大事という意識が少なからずありますが、海外ではそういう意識が根本から違う場合もあると感じています。 髙桑
岡本社長 それは大事な取組みだし、今後も根気よく続けてほしいね。ただ、私たちがお願いしたらその通りにやってくれるかというとそうでもないから、最終的には取捨選択ということもあるんじゃないかな。  

 

「異次元の素材メーカー」としてのCSR

 

田中 田中 日軽金グループは、「異次元の素材メーカー」としての地位を確立することを目標に掲げています。そこでお聞きしたいのですが、「異次元」とはどのようなことを指すのでしょうか? CSR 活動とどのようにつながるのでしょうか? 
岡本社長 異次元という言葉だけがひとり歩きするんだよね。私たちの会社を客観的に見て、何が強みなの?ということを考えなきゃいけない。日軽金グループというのは、それぞれ強みや専門領域を持った会社がたくさんある。それぞれ個別の領域で勝負していたら小さい会社だけども、それぞれが協力して、組み合わさって商品をつくれば、大きな会社がつくれないものがつくれる。例えば、ダイカストと板がくっついて溶接して商品になるとする。ダイカストの勝負でもない、板の勝負でもない世界へ上がっていける。そうすると、次元が変わるんだよ。
 素材メーカーは、高付加価値商品をつくります、とよく言うよね。でも、いくら私たちが、良い技術です、良い商品です、良いサービスです、と言ったところで、お客さまがその価値を認めてくれなければ付加価値でもなんでもない。だから、お客さまの方を向いて、お客さまに選んでいただけるような会社にしたい。お客さまのニーズの中に、あるいはその先に社会課題の解決という付加価値があると思うんだよ。
 
寺中 寺中 付加価値を認めていただくためには、まずお客さまのニーズを捉える必要がありますし、それを実現するためには、グループ内での情報共有が大切だと思います。そのためのしくみとして横串活動や情報探索活動があるわけですよね。 
岡本社長 情報探索活動は、営業だけでなくすべての部門の従業員がお客さまをはじめとしたステークホルダーの「生」の声を聞いて世の中のニーズを探索するという活動だよね。だからこの情報の中にはお客さまのニーズに形を変えた社会のニーズがあり、課題があると考えてもらいたいんだよ。だからこそ異次元の解決策が必要なんだ。  
飯野 私は開発を担当しているのですが、10 年後、20年後の新商品・新ビジネスを作り上げること、すなわち「異次元の素材メーカー」であり続けることが、日軽金グループのCSR 活動を永続的に続けていくキーポイントだと思っています。ただ、新商品・新ビジネスが、現状のビジネスの延長線上にあるのか、まったく別のところにあるのか判断が難しく、その上で、関係者を巻き込んでいくことが、本当に正しいかどうかも含めて試行錯誤を繰り返しています。 飯野
岡本社長 そういうことをやる場合って、どれだけ自分の考えに賛同してくれる仲間をつくるかだね。一人でやったって上手くいかないし、大学の先生にやってもらった方が良い場合もあるし、色々な可能性が考えられるよね。自分が本気になったその時に、本当に一緒になって火の玉になるような仲間が何人か集まったら当然引っ張っていけるだろうし。
 私たちは、プロダクトアウトでやっていこう、という考え方ではないじゃない。マーケットプルなんだよ。常にマーケットにいる。だからお客さまが必要としているのは何なのかを考えなくちゃいけない。お客さまが必要としていることが「二酸化炭素の排出量を少なくしましょう」だとするよね。私たちは企業相手にビジネスをする会社だから、排出量の少ない自動車をつくることはできないかもしれないけれど、お客さまが望む軽量化のために、環境配慮型の商品をつくることはできる。例えば、「ジェネスタ®」とかね。そういうものを研究開発しながら、お客さまの“ 欲しい” を満足させるような商品をつくっていく。それが、次元を超えるってことだし、CSR 活動を続けるってことだよ。
 
田中 本日の内容をそれぞれの職場に持ち帰って、積極的にCSR活動を推進していきたいと思います。本日はありがとうございました。