日本軽金属ホールディングス株式会社

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2002年度~2006年度中期経営計画

日本軽金属グループ中期経営計画を策定

2001年4月の社長就任以来、早期の復配を目指し、かつ5円配当をできる収益力、財務体質を作り上げるという目的のために、また株主、投資家の皆様のご期待に沿える企業グループへ変革を遂げるためには何をなすべきなのかを検討してまいりました。
日本軽金属グループでは、このたび多くの検討を踏まえ、上記目的を達成する指針として、今後5年間の計画である「日本軽金属グループ中期経営計画」を策定し公表いたしました。
本計画は経営の実行計画であり、日軽金グループはその実行に責任を持って臨みます。
株主、投資家の皆様をはじめとして多くの方に、このホームページを通じて、日本軽金属グループ中期経営計画が目指す基本的部分をお伝えしたいと思います。

平成13年11月22日
日本軽金属株式会社
代表取締役社長
佐藤薫郷

ビジョン

日本軽金属グループは、本中期経営計画により

(1) 高収益事業で構成される企業グループへ構造転換を図ってまいります。
-収益力の飛躍的向上と財務体質の大幅な改善を達成します。
(2) 構造問題を抱える事業分野ではマーケットの収縮に耐える強いコスト構造をつくりあげます。
(3) グループの経営資源をフル活用し、アルミ事業を発展させ、さらに21世紀の課題ともいうべき循環型社会、高齢化社会やアメニティー志向のニーズに対し、最適な商品・サービスを提供することにより、広く社会に貢献する企業を目指します。

中期計画の骨子

2006年度の目標(連結)
    2006年度 (2003年度)
連結目標 売上高 5,900億円 (5,500億円)
営業利益 320億円 (240億円)
経常利益 230億円 (170億円)
経営指標 ROCE(使用資本利益率) 8%超
財務目標 有利子負債削減 3,000億円  →2,300億円
人員計画 連結人員削減 13,000人  →12,000人

中期計画達成後、すなわち2006年度の目標数値はこちらです。
こうしたビジョンに基づき、目標を達成すべく以下に示しますアクションプランを実行してまいります。

アクションプラン


目標値に到達するためのアクションプランの骨子・骨格は次のとおりです。
(1) 建材ビジネス(新日軽)の黒字化
(2) 押出事業の生販にまたがる構造改善
(3) グループ全域にわたる総コストの削減
(4) 強い事業の更なる強化
(5) 強い事業を育成(新商品・新規事業の開発)

建材ビジネス(新日軽)の黒字化

まず、アクションプランの第1は、「建材ビジネス(新日軽)の黒字化、構造改善」であります。
具体的には、新日軽において今後新設住宅着工戸数が減少し、90万戸割れの時代になっても、利益の生み出せるだけの企業基盤を確立するための構造改善をさらに強化します。 まず当社が建材マーケット全体、そのなかで新日軽の売りをどのように見ているかの「前提となる市場条件」をご説明いたします。

住宅分野の市場は、5%強の下降線を辿り、06年には、90万戸割れもありうるという厳しい見方をしました。その中で新日軽は、自社ルートの拡大を進めることによって直販を増やし、住建ルートの分野全体では、総需要が減る中でシェアは維持できると見ています。
またハウスメーカーの市場は、3.5%で縮小していくと見ていますが、新日軽の得意分野であるハウスメーカー売りは、ハウスメーカーとの共同開発等により、現状の売上高をほぼ確保できる見込みです。
また、ビル建材市場は、「非木造建築の床面積」で傾向を見ますが、03年までは比較的確度の高い見通しができ、年率2%の減少と見ました。皆様の目を引く超高層分野は、実はビル建材市場での比率はそう高くはないのですが、04年以降大きく減っていく傾向にあり、ビル建材全体として年率5%減少するとしました。以上のような市場規模の変化とそれに応じた新日軽の売り上げ、価格変化を本中期計画の中に織り込んであります。建材ビジネス(新日軽)においては、このような状況下で、まず第1に徹底したコストダウンを強力に推し進めます。具体的なコストダウン内容は以下のとおりです。

徹底したコストダウン
2003年度までに 北陸地区にRM(ビル建材)を集約
船橋工場にOM(カーテンウォール)を集約
→集約に伴い生産部門の人員を削減
購買・物流費 55億円削減
品質関係費 10億円削減
工場原価の低減 25億円削減
間接部門の人員削減150人 22億円削減
2006年度までに 人員700人(外注を含む)労務費・経費 50億円削減

次にビル価格の是正です。目下、着実に価格是正は進行しており、2001年度上期から徐々に、下期には本格的に収益に貢献してまいります。本中期計画には改善効果として03年度までに40億円を織り込みましたが、足元の粗利益の高い受注が来年度に効いてくることから、その達成は可能であると考えております。
さらに建築構造材分野、エコ志向、改装(リニューアル)市場の拡大を踏まえた新商品を出していきます。

以上の施策を中心にした構造・収益改善計画を確実に実行し、新日軽の業績は01年には営業損益の黒字化、03年には経常損益の黒字化を達成します。

押出事業の生販にまたがる構造改善

アクションプランの第2は、「押出事業の構造改善、収益体質の確立」です。
1999年度にはグループ全体で33機の押出機を保有し、これら過剰設備の処理と高コスト体質の解消が課題でありました。
そこで、00年度に当社大阪工場、日軽形材㈱山形工場を閉鎖し、人員の削減と押出機6ラインを廃棄しました。01年度に2機、02年度前半で、更に2機を削減する計画であります。
その後も計画的かつ選択的に削減していく方針であり、グループ内の低コスト工場へ生産を傾斜させていきます。
更にコスト競争力を持たすために、他社に比べ割高となっています製造コストを解消する必要があります。そこで押出事業の分社化により、業界並みのコスト構造へ転換していきます。02年度中に分社化を実行し、その後グループの形販も集約・強化し、グループ全体での最適生産(コストミニマムという考え)を目指していきます。

グループ全域に亘る総コストの削減

3番目のアクションの柱は、「総コストの削減」です。
本中期計画中に見込まれる収益改善は、00年度の29億から06年度230億円となり、経常損益210億円の改善を見ています。この改善幅の内訳としまして、利益の減少要因(販売価格の下落等)を109億円織り込んでおります。
一方、利益の増加要因といたしましては、購買・物流で140億円の改善を見込んでいます。また、固定費の削減(労務費、設備費両方を含む)は、収益事業への設備投資による負担増加もあるため、ネットで90億円の改善となります。
新商品・新規事業(これらは現在進行中のもの、また、種があってこの期間に売りが立つもの)で、80億円の増加を織り込んでおります。

強い事業の更なる強化

アクションプランの4番目は、「強い事業をさらに強くする」です。
日軽金グループには、業界で1位、2位のポジションを持っている事業が数多くあります。それらは、アルミパウダー・ペースト(P&P)、アルミナ・化成品、メタル合金、バン・トラックボディ架装事業(フルハーフ)、移動体通信・携帯電話の中継機械装置用のプラントパッケージ(エカル)、業務用冷凍・冷蔵設備向けパネル、クリーンルーム用パネルの事業です。これら業界で優位に立つ事業に経営資源を傾斜させ、圧倒的「1位事業」へ育成していきます。またパネル事業は、機動的運営とコスト競争力強化を目的に分社化します。
以上の強い事業が稼ぎ出す利益の増加具合を、以下に示しました。

強い事業を育成

アクションプランの5番目は、「強い事業を生み出していく」ことです。
グループの持つ資源を商品化、事業化のために最大限に生かす、つまり事業部・会社をまたがる横断的組織・仕組みによる開発・営業活動(いわゆる横串開発)を活発に展開してきました。
そしてこの4月には、その推進母体として「商品化事業化戦略プロジェクト室」をつくり、開発の拡充と、効率化・スピードアップを図ってきました。
中期的に見た場合、環境問題、省エネルギーという社会的課題の重さは、増えこそすれ減少することはありません。
軽さ、リサイクル性といった点から、自動車、鉄道・車輌分野でのアルミへの期待、アルミへの回帰はますます進みます。同様に家電リサイクル法施行などを機会に、リサイクル性が見直されていますが、この動きは更に強まるでしょう。当社グループでは、このような社会的背景を受け、新しい機能をつけたアルミ素材・部材としての製品を市場に出していきます。
建築構造材としても、建築基準法の改正でアルミの出番が回ってきました。当社グループの得意分野でありますから、既に新たにチームを作り、お客様との間で共同開発テーマを持って取組んでいます。
これら分野の概要は以下のとおりであり、

強い事業を育成
自動車分野
+道路・鉄道分野
メタル合金事業、アルミナ・化成品事業、押出事業での増収増益を図る。
自動車分野での事業展開を一層進めるため、アルミニウムの圧延工程・鋳鍛造工程での新プロセスを導入し、新製品を上市。
電機・電子分野
+高純度箔分野
アルミニウムのリサイクル特性を活かした家電製品の構成・機能材
ブロードバンド時代を迎えたIT市場での蓄・放熱性、蓄電性、磁気シールド性などを満足できる多様な機能部品と機能材料の開発を進め、商品化。
建築構造分野 建築基準法の改正により、建築構造材にアルミ合金の使用が拡大
高強度、耐食性、耐久性に優れた永続性の高いアルミ構造材商品が住宅市場で期待。
住宅市場のリユース、リサイクルニーズにも積極的に応える新商品を開発

その新製品・新規事業が創出する営業利益は以下に示しました。

財務目標

中期経営計画では、財務目標の達成も重要な柱となっています。
有利子負債は、営業キャッシュフローと資産売却を中心に、運転資金圧縮・設備投資の厳密な管理という施策を合わせて、700億円を圧縮する方針です。使用資本としては、350億円の減少。収益の増加との両方の効果で、使用資本利益率(ROCE)は現状の3%から8%超へ改善します。

メッセージ

以上、日本軽金属グループのイノベーションを目指した「中期経営計画」の骨子を説明申し上げました。
この過程で、「アルミにこだわりつつも、アルミを超えていく」ということになるでしょう。
これからも日本軽金属グループは株主・投資家の皆様のご期待にこたえながら、社会的にもその存在意義を高く評価されるような事業グループとして存在し続けたいと考えます。