日本軽金属ホールディングス株式会社

新しいリサイクルのカタチで地球の温暖化を止めたい

 地球温暖化問題、世界各地で進む自然破壊、また化石燃料をはじめとした天然資源の枯渇問題などの課題に対し、日軽金グループはアルミリサイクル事業をグローバルに行うことで、これらの解決に貢献します。

東京都の広さの森林が吸収するCO2排出量を削減

 アルミニウムをボーキサイトから1㌧生産するとき、12.7㌧のCO2を排出します。これは、電気分解という製法を用いるため大量の電気を必要とするためです。これに対し、リサイクルされた材料(スクラップ)を使ってアルミニウム1㌧をつくった場合のCO2排出量は0.35㌧です。
 日軽エムシーアルミ㈱はお客さまや日軽金グループ、さらに世界22か国から購入したスクラップから年17.6万㌧の再生アルミニウムを生産しています。これは、新たにアルミニウムを生産する場合と比べ、年間217.8万㌧のCO2を削減したことになり、このCO2の量は、東京都の広さの森林が1年間に吸収する量に相当します。
 また、アルミニウムを1㌧生産するのに約4㌧のボーキサイトを採掘します。 ボーキサイトは原野や山間部に多く存在するため自然豊かな土地を開発することになります。例えば、1㌧のアルミニウムをつくるためには、少なくとも1㎡を採掘しなければなりません。これは日本のアルミニウム年間消費量(400万㌧)に換算すると400万㎡(東京ドーム85個分)の土地を採掘することになります。アルミニウムのリサイクルは自然保護にも貢献しています。

※数字はすべて日軽エムシーアルミ㈱調べ。

CO2排出量削減効果イメージ図

日軽エムシーアルミ㈱の工場とスクラップ購入先

日軽エムシーアルミ㈱の工場とスクラップ購入先
 

 

化石燃料から替わる!? 水素社会を実現したい

 化石燃料に替わるエネルギー源として、水素が注目されています。水素は、その他の燃料と比べて運搬効率が低く、爆発の危険があるため、水素社会を実現するには、堅牢な貯蔵・運搬設備が必要になるなどさまざまな課題があります。日軽金グループでは、世界に先駆けて新たな水素キャリア「粉末SBH」を開発しています。この「粉末SBH」は1㎏につき2.4㎥(2,400ℓ)の水素を貯蔵することができます。爆発の危険性もなくなり、さらに、SBHから水素ガスを抽出した後の使用済み粉末(メタホウ酸ナトリウム)は、再びSBHとして再生可能です。
 将来、化石燃料に取って替り「粉末SBH」が車両を動かすような水素社会が実現することを目指しています。

※SBH=Sodium borohydride、水素化ホウ素ナトリウム

 

新世代インゴット

 日軽エムシーアルミ㈱は、お客さまとの共同で新世代インゴットを開発しました。この新世代インゴットは、1個100gとこれまでのインゴットと比べ50分の1の重量となりました。これによりお客さまの製造ラインのうち大型の溶解炉がいらなくなるなど建屋を含む設備面積80%削減、さらにエネルギーコスト50%削減、ライン短縮によるコスト33%削減などの多くの効果をお届けす ることができました。
 この新世代インゴットは、お客さまのタイ、スペイン、ハンガリー、メキシコの各拠点にも展開されており、さらにインドにも導入される予定です。

 

 開発担当者 の声

 お客さまから『省エネルギー、省スペース、省音、高品質、低コスト』という新世代インゴット構想を伺ったときは大変魅了されました。開発をスタートしてみると、生産単位の小規模化や大きな設備投資が必要など、自社の負担が大きく社内で理解を得ることが難しかったことを覚えています。それでもお客さまの声に誠実に応えようと粘り強くがんばりました。結果として、お客さまをはじめ社内の関係者からも「導入してよかった」と言ってもらえたことは大変誇らしく思っています。縁あってタイに赴任し、タイの新工場でも新世代インゴット製造ラインを導入し、お客さまのタイ拠点へも納入することができ、嬉しい限りです。

新世代インゴット
 

従来のインゴット(5kg)を持つニッケイエムシーアルミ(タイ)社
進藤 崇 取締役 営業部長(中央)と新世代インゴットを持つ
メーチャノックさん(左)とカンチャロットさん(右)

 
新世代インゴット

新世代インゴット


 

 

 お客さま の声

 新世代インゴットにしたメリットはたくさんあります。設備の小型化、コストダウン、熱効率アップ、現場の作業負荷軽減、炉修理コストの削減など多くの成果が得られました。
 現在、国内35台、海外24台の新世代インゴット専用ラインを導入しています。将来的には、材料(新世代インゴット)も部品と同様に、かんばん方式による自動搬送を実現することで物流改革にもつなげられると期待しています。これも、新世代インゴットあってこそだと思っており、日軽エムシーアルミさんの協力にとても感謝しています。これからも、お互い協力し合い、グローバルに展開していければと思っています。