サプライチェーンマネジメント
方針
当社グループは、「グループ内外との連携を深化させ、お客様へ多様な価値を継続的に提供する」ことを経営の基本方針の一つとして掲げています。お客様へ継続的な価値提供を行うには、日々変化する環境に即時・柔軟に対応していくことが必要不可欠です。そこで、当社グループでは「安定したサプライチェーンの構築」と「変化に柔軟で強靭なバリューチェーン」の2つを重要課題として特定し、当社グループとして責任ある調達・生産・供給を目指しています。これらを実現していくために、サプライヤーとともに法令遵守・人権尊重・環境保全・製品サービスの安全性等、CSRに配慮した調達活動を推進します。
CSR調達方針
当社グループの購買部門では、右記のようなCSR調達方針を掲げ、調達活動を行っています。このCSR調達方針の浸透のため、購買担当者会議を半期ごとに開催しています。本会議では、当社グループ27社の購買担当者が一堂に会し、調達情報、調達課題、CSR調達に関連した事項の情報共有に努めています。加えて、不正防止のためのワークショップを実施し、調達コンプライアンスの向上に努めています。
また、サプライヤーへの啓発とサプライチェーンの強化をすべく、サプライヤーへ向けたアンケートを実施し、サプライチェーンの現状把握を行っています。
1.公平・公正な調達 |
体制
当社グループは多面的な事業運営を行っており、購買品目も多岐にわたります。このため、購買体制は事業分野ごとの自律を基本としながら、緩やかなグループ連携を行っています。また、情報連携のみならず、人財交流による業務連携強化も行っており、多様な視点から調達戦略を立案・遂行し、コスト低減と共にリスク管理・ヘッジ施策を実施しています。このようなグループ連携を通じて、責任ある調達を実現するために、さまざまな課題を先取りして解決を図っています。
2023年度の取組み
購買部門を取り巻く調達環境は、「品質、コスト、納期」(QCD)を軸としたサプライチェーンマネジメント(SCM)に加え、地球温暖化や人権問題などの環境・社会課題に対して持続可能性に配慮したSCMの確立が必要となっています。また、エネルギーをはじめとした各種マーケット価格の高騰やカーボンニュートラルを目指したグリーンインフレ、潜在的地政学リスクによる調達リスクなど、調達を取り巻く環境は日々変化しています。これらの問題に柔軟に対処できるよう、レジリエントなSCMを構築する必要性も高まっています。そこで、2023年度も以下のような調達活動を行いました。
安定したサプライチェーンの構築
当社グループでは日々変化する調達環境に対して、以下のような施策を行っています。
〇従来産地品以外の新しい産地品の開拓による地政学的リスクの軽減
〇「顔の見えるサプライヤー」と年間契約による安定的な供給体制の構築
〇モノポリー購買の複数購買化
〇購買品目の値決めのフォーミュラ化
このような施策により、安定したサプライチェーンの構築を進め、リスク顕在化時の被害のミニマム化を進めています。
当社グループでは、金属材料や工業薬品等に関して購買品目の原産国調査を進めており、地政学リスクがある原材料の抽出を行っています。この地政学リスクに対して、供給国多元化などの対応を行い、リスクの低減を図っています。一方で、市況高騰リスク対応として、モノポリー調達品に関しては複数購買化による競争原理の導入や市況変動に沿った価格変動とする指標連動価格導入(フォーミュラ化)を進めました。
金属材料の調達においてはロシアによるウクライナ侵攻、中東地域における地政学リスク等昨今の供給不安を受け、在庫量を調整しソース分散を行うことで供給リスク対策に取り組みました。輸入品、国内品ともに調達先の分散を進めることで、有事発生時にも被害を最小限に留め、安定供給を実現する取組みを行っています。
主原料のアルミ地金調達においては、複数購買の観点から世界の国々・地域からの調達を行っています。一方、海外サプライヤーの調達リスクを考慮し、国内での調達体制の構築を進めています。さらに、需要の急変への対応策として、サプライヤーでは海外・国内、契約では長期・短期の選択肢を用意した柔軟な対応を取ることで在庫リスクを低減できるオペレーションを目指しています。
またカーボンニュートラル社会に向け、より低炭素である製品に対する需要が高まりつつあります。そこで、当社グループ内のアルミスクラップの使用比率を高めるべく、営業部門や技術部門と連携し、グループでのアルミ水平リサイクル活動の推進を行っています。購買部門ではスクラップ材のサプライソースの多元化を目標に、外部サプライヤーの新規開拓を行っています。特にアルミスクラップに関しては、QCDの安定化が必要不可欠となっており、以下のような点に重点を置いて活動を行いました。
Q: 出元が保証されたリサイクル原料の確保によるコンタミリスク低減
C :フォーミュラ化による価格透明性の担保
D :定常的な取引の継続
今後もカーボンニュートラルに配慮した調達に取り組み、再生可能エネルギーやリサイクル由来の原材料調達の推進を通じて、持続可能な社会への貢献を目指します。
変化に柔軟で強靭なバリューチェーン
2023年度は購買部門を取り巻く環境に対して柔軟に迅速な対応を行えるように、サプライヤーへのアンケート調査などを元に状況分析をする一方、地政学リスクやパンデミックなどへの対策を講じることで強靭なSCMの構築を継続して進めました。
2023年度サプライヤーアンケート実施結果について
品質・環境・社会的責任の観点から、当社グループでは顧客満足・信頼維持のサポートを行うとともに、購買部門ではサプライヤーへの啓発と連携強化に努める必要があります。2023年度サプライヤーアンケートは、集中購買品のサプライヤーの約460社(カバー率:92%)を対象として実施し、2023年度の回答回収率は72%となりました。
当社グループのお客様の要求事項に変化があったことから、今年度は人権に関する対応についての質問を追加しました。その内容は、「社会的・国際的に、深刻な人権侵害が懸念される国および地域を把握し、適切な管理」の有無を問うものとしました。この質問に対して、「適切に管理している」と回答をしたサプライヤーまたは、国内での調達および製造を行っている企業や懸念される国や地域との取引がないサプライヤーは合わせて、約93%を占める結果となりました。その他の約7%のサプライヤーも管理をしていないものの必要に応じて対応可能との回答がありました。
その他にもSDGsの取組み推進状況を調査したところ、「推進している」と回答したサプライヤーが約7ポイント増加する結果となりました。このことから、各サプライヤーがSDGsへの取組みに対して、継続的に活動を続けていることを確認することができました。
今後も日軽金グループの調達方針をサプライヤーと共有するとともに、サプライヤーの協力を得て、CSR調達を推進していきます。
深刻な人権侵害が懸念される国および地域を把握し、適切な管理を行っているか
SDGs達成に向けて、取組みを推進されておりますでしょうか?
人権デュー・ディリジェンスに対する取組みについて
これまで当社グループは人権に対する取組みとして、人権方針の遵守やお客様の要求事項をサプライヤーへ展開する、前述のサプライヤーに対するアンケートをもって明示してきました。
2023年度もグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのCSR調達セルフ・アセスメント・ツールを用いて、集中購買を行っているサプライヤーを対象にリスクの特定と評価を行いました。
今後は、下記の人権デュー・ディリジェンスのステップで進めてまいります。2023年度に取り組んだ内容および2024年度も継続的に取り組む予定のステップは青の網掛け箇所となります。2023年度には、救済措置とする窓口を設置しました。
人権方針:https://www.nikkeikinholdings.co.jp/csr/human-rights/0402.html
負の影響の特定・評価を目的とした2023年度の調査では、昨年度から12社増加した34社へ試験的にCSR調達セルフ・アセスメント・ツールの回答を依頼し、リスクの特定を行いました。今回調査した34社は本店集中購買における購買額の80%を占める企業となります。
コーポレート・ガバナンスや情報セキュリティ、品質・安全性、労働項目はリスクは低いと評価されました。一方で地域社会との共生や人権については、昨年に続きその他の大項目と比較した場合、比較的リスクが高いと評価されました。この要因を把握するため、比較的リスクが高いと評価されたサプライヤーに確認したところ、①販売品目が地域社会や先住民負の影響を与えていない ②工場が工業地帯にあり、地域社会に対して負の影響を与えていないとの回答がありました。
KPI目標として2030年度までに、本アンケート回答依頼の対象企業数を当社グループ全体における購買額の80%へ拡大し、人権に配慮した調達を推進していきます。
- 重要課題の特定ステップ
- トップメッセージ
- 価値創造プロセス
- 統合報告書/CSR報告書
- 事業を通じた取組み
- 新橋移転プロジェクト(2020年度特集)
- アルミでサステナブルな社会へ(2019年度特集)
- 想いをカタチに Through and Through Nikkeikin(2018年度特集)
- ツナグを創るNikkeikin(2017年度特集)
- 未来の扉をひらく異次元の素材メーカー(2016年度特集)
- ミライをつくるみんなの想い(2015年度特集)
- もっと快適に、もっと軽やかに、もっとアルミニウム(2014年度特集)
- 地球とあるみらい(2013年度特集)
- 地球がよろこぶDNA(2012年度特集)
- 組織統治
- ガバナンス
- 役員一覧、スキル・マトリックス
- 株主・投資家との対話
- 内部統制
- リスク管理
- 情報セキュリティ
- 社外取締役インタビュー
- 人権
- 人権方針
- 人権に関する取組み
- ダイバーシティ&インクルージョン
- 労働慣行
- 安全衛生
- 人財戦略
- 人財の確保、育成
- 働きがいのある職場づくり
- 環境
- 環境方針、体制
- 活動計画および取組み実績
- 気候変動への対応 ~TCFDに基づく開示~
- 大気・水質保全
- 廃棄物削減と再利用の取組み
- PRTR届出物質排出量
- 生物多様性保全
- 持続可能な資源の利用
- 環境教育
- 環境会計
- 公正な事業慣行
- コンプライアンス
- サプライチェーンマネジメント
- 知的財産の保護
- 消費者課題
- 品質マネジメントシステム
- 製品含有化学物質管理
- 製品・サービスの適正表示に関する取組み
- 分析・試験体制
- ISO9001取得状況
- コミュニティへの参画及びコミュニティの発展
- 社会貢献の取組み
- 顕彰実績
- 雨畑ダム周辺地域における浸水対策について
- データ編