日本軽金属ホールディングス株式会社

社外役員メッセージ

※統合報告書2024発行(2024年11月時点)の内容です。

私は2021年6月に、社外取締役に就任いたしました。IT系メーカーで経営トップを担ってきた経験をもとに、当社グループの評価や今後の課題、提言を忌憚なく述べさせていただこうと思います。
 まず社外取締役の責務とは、経営のモニタリングとその助言であることを充分に認識しております。そのうえで私が果たすべき第一の使命は、経営判断の局面、局面でのアドバイスと考えています。過去の経緯や現状を振りきり、経営トップが思い切った断を下すことは、容易なことではありません。社外取締役という客観的な立場から、岡本社長が超えたいと考える先があるなら、その"超える" 一歩を後押ししていきたいと思っています。
 もう一つは、ITやDX化です。デジタルデータを活用して攻めの経営へ積極的にシフトするという視点から、ITビジネスに関わってきた私の知見や経験を通じた助言ができるのではないかと思っています。さらには、日本企業の共通課題であるグローバル化や地域活性への助言を特に意識しながら任に就いております。
 社外取締役に就任して以来3年余りが経ちましたが、当社グループの取締役会は岡本社長のリーダーシップの下、とても風通しがよく自由闊達な意見を発することができる環境が整っています。実効性の発揮という点でも、とても好印象をもっております。
 ただ、今後の課題を挙げるとすれば、例えば取締役会で取り上げられる議題が短期的な課題に終始しがちなことです。人的資本経営であるとか、攻めのDXであるとか、ビジネスモデルの再検討といった中長期的な視点でも執行側と社外取締役とが喧々諤々と議論を重ね合うことで、取締役会がさらに活性化するのではと考えております。
 社外役員間でも情報交換の重要性を感じているところです。非公式ではあるものの、社外取締役と監査役の情報交換の場として「A&D(Auditor&Director)連絡会議」を設け、グループ・ガバナンスの見直しなどについて討議し、取締役会の議論等に生かすといった試みを実施しています。
 折しも「23中計」では経営改革の断行も成されました。指名・報酬委員会や取締役会での議論が反映された結果であると評価しております。
 品質問題も、ガバナンスの不徹底が遠因であるという感は拭えません。「特別調査委員会」の調査結果報告を踏まえ、各拠点の長などによる「拠点長会議」、岡本社長自ら現場に出向いての「職場行脚」を通じて、グループ各社のガバナンス徹底のみならず企業風土の改革が進みました。日本軽金属㈱名古屋工場と日軽新潟㈱において、2024年4月にJISの再認定を得たことは一つのマイルストーンの達成であると捉えております。
 経営課題について言及するなら、新生チーム日軽金として「異次元の素材メーカー」への飛躍をめざすために求められるのはグループ全体の戦略性を高めたうえでの攻めの経営ではないでしょうか。
 その一つは、No.1にこだわったものづくりだと私は考えています。たとえ小さなマーケットでもいいので設定ターゲットに対してスピード感を持って挑んでいくことが肝要です。柔軟な発想が必要だとするなら思い切って若手を登用するのもいいでしょうし、異分野の技術が必要ならM&Aも辞さないという覚悟をもつこともよいかと思います。No.1を達成することで従業員のモチベーションも高まりますし、外部との協業チャンスといった相乗効果も期待できます。
 もう一つはIT、DXの活用です。昨今の生成AIも飛躍的なブレイクスルーを遂げておりますが、その効率活用の鍵はデータなのです。当社グループに蓄積されているデータ資源を可視化、共有することで当社グループが長年培ってきたバリューチェーンでの知見やノウハウをシームレスに活用することが可能となり、まさに「異次元の素材」開発につながるのではないでしょうか。
 取締役会構成員変更に象徴されるように、当社グループの経営改革は着実にガバナンス強化につながっていると思います。取扱製品は違えど、私は国内外で長年ビジネスの第一線でお客様に接して参りました。そこで培った知見を最大限に発揮しながら、「異次元の素材メーカー」へと"超えていく" 当社グループのジャンピングボードになることが私の役割であると認識しております。ステークホルダーの皆様には、この「統合報告書」を通じて新生日軽金グループの決意と全役員・従業員の情熱のほどをご理解いただければ幸甚でございます。

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