日本軽金属ホールディングス株式会社

社外役員メッセージ

私は2013年6月に社外取締役に就任し、今年で13年目を迎えます。
 就任当時、当社グループの連結営業利益は82億円と伸び悩んでおり、業績の改善が経営テーマとなっていました。そうした中で2012年に持株会社体制へと移行し、これを契機にグループ各社の収益性改善を徹底的に推進しました。特に岡本社長が持株会社の社長を兼務してスタートした中期経営計画(2016~2018年度)では、年300億円水準の経常利益を実現するまでに至りました。
 しかしその一方で、収益性を追求するあまりガバナンスの機能が不十分となり、2021年には品質問題などの課題が表面化しました。当初、私も特別調査委員会に参加し、現場が短期の収益目標を優先するあまり、品質への意識が後退していた現実を痛感しました。この反省を踏まえ、当社グループでは経営トップ自らが現場を訪ね、対話を重ねることで現場との一体感を醸成するなど、抜本的な構造改革に取り組んできました。
 私は社外取締役として、企業経営の監督・助言を担う立場にありますが、特に重視しているのが「従業員が健康で生き生きと働ける環境づくり」です。働く人々が安心して能力を発揮できる環境が整えば、自律的な改善や創意工夫が自然と生まれ、それが結果として株主の皆様からのご期待に応えることにつながると信じています。短期的な数字だけでなく、従業員の意欲や組織の一体感といった「目に見えにくい力」にも目を配ることが、長期的に持続可能な企業であるための土台だと感じています。
 企業経営において、従業員の働く環境を重視する姿勢は特に困難に直面したときに重要だと思います。当社でも、品質問題を契機に、岡本社長が職場行脚や現場のリーダーが本社に集まり議論する拠点長会議を通じて従業員との対話を重ねた姿勢は大きな転換点だったと感じています。また、これまで個別に成長を追求してきた多数のグループ会社を8つの事業グループへと再編することで、意思決定の迅速化と経営資源の最適配分が可能となり、ガバナンスの実効性も向上したと評価しています。
 このように経営基盤の整備は着実に進展しているものの、その効果が本格的に数字となって表れてくるのは次期中期経営計画(2026~2028年度)以降になると見ています。現中期経営計画(2023〜2025年度)は、人・モノ・カネといった経営資源を最適に活用する体制を本格的に運用し始めた段階といえます。この体制のもと、事業グループごとにROICを指標とした経営を進め、資本効率の向上や利益率改善に着実に取り組んでいます。
 当社の取締役会の構成は社内取締役4名・社外取締役5名という構成となっており、監督機能の観点からも望ましい体制です。また、社外取締役には海外経験豊富な人材が揃っており、会社の成長課題であるグローバル展開に向けた議論にも的確に対応できる、バランスの取れた構成となっています。取締役会の場で忌憚なく活発な議論が展開されることはもちろん、原則隔月開催のインフォーマルな朝食会でも岡本社長を交えた社外取締役間の意見交換も継続されており、この場での意見交換が、経営課題や中長期の経営方針に関する取締役会としての議論をより実質的なものにしています。後継者育成(サクセッションプラン)に関しても、候補者育成や母集団形成が着実に進展しています。
 今後の当社グループの成長戦略に関して申し上げれば、国内市場は人口減少などにより需要が減速する中、海外市場への進出加速とグローバル化の推進は不可欠です。商社出身である私自身の経験からも、異なる文化や価値観を持つ地域でビジネスを成功させるには、経営人財の育成が極めて重要であると認識しています。小さな失敗を許容しながら、それらを貴重な学びの機会として活用し、マネジメント力を磨いていく姿勢が重要です。また、同業他社のみならず、マーケティング&インキュベーション統括室を核とした異業種との協働を積極的に進めることが、新たな成長領域を開拓する鍵になると考えます。
 こうした成長への取組みを加速する一方で、同時に冷静に備えるべき課題もあります。リスクマネジメントにおいては、成長戦略を実現するうえでの足元の強化として、事業領域の進出や撤退判断の迅速化、知的財産権管理やサイバーセキュリティの一層の強化が課題であると感じています。当社グループは多数の特許や知的財産を保有していることから、それらを守るため、サイバーセキュリティの強化を一層推進する必要があると考えます。
 現中計期間(2023〜2025年度)を「守りから攻め」への転換期と位置付けると、次期中期経営計画(2026~2028年度)は、当社グループにとって真価が問われる重要な期間になります。整備してきた経営基盤を活かし、ROIC経営の定着、海外市場での実質的な競争力の強化、そして何よりも経営人財の育成という課題に一つひとつ真摯に取り組んでまいります。
 株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆様には、これからの「新生チーム日軽金」の挑戦にご注目いただき、引き続きのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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